多情仏心#雑感
子どもの頃から寝つきが悪く、眠りが浅い性質なのですが、年に
一、二度抗いがたい睡魔に襲われることがあり、そんな夜は必ず "茫々と果てしなく墓標が並んでいる光景"を夢に見ます。 眠くてたまらないときは「あちらの世界から呼ばれてる」なんて よく云われますが、懐かしい再会をしたことは残念ながらなく、 とにかくモノクロームの世界に墓標だけが延々と(笑)。 京都の地名で「○○野」と呼ばれる場所は、かつて葬送の地だった ことはご存知だと思います。 鳥部野(とりべの)は東山の清水寺付近。 蓮台野(れんだいの)は北区船岡山の千本釈迦堂付近。 化 野(あだしの)は右京区嵐山の化野念仏寺付近。 京都の三大葬送の地で、平たくは『野晒(のざらし)』地区ですな。 落語にもありますね。寂々としてますが、風情は十分感じます。 そして内裏から見て鴨川が現世と冥界の境界。あ、オカルト話 してるんじゃないんですよ。冒頭の夢は、おそらく化野念仏寺の 風景が基調になっているのではないかと思うんです。私たちが 日常過ごしている場所も、遠い昔はさまざまな生と死の物語が 交錯していたはず。そう考えるとロマンティック・・・でもないな(笑)。 前のめりのまま 無造作に投げ出された愛が 季節に追われ ころんだまま 野晒しになっている 鳥辺野 (『鳥辺野』/さだまさし)
|
||