今回も本の紹介ネタで。いかん・・・疲れてるな(笑)。

その1 『応天の門(灰原薬)』
久しぶりに"絶品"の歴史ものです。ぶっ飛び。
「作者さん、すごく勉強しておられるなー」とため息が出ました。
若き日の菅原道真、渋く齢を重ねた在原業平が、都に起こる
難事件、怪事件を解決していくという趣向。絵もウマい。
時代と舞台設定だけ拝借した荒唐無稽な作品が多い中、
本作は史実、説話(今昔物語)、絵巻を上手くブレンドしています。
唐詩や史紀などからの引用が随所にあるし、時代考証もしっかり
しているから、登場人物がとても活き々しています。これ大切です。
章毎の、当時の社会についての解説「道真の平安時代講」も勉強
になりますよ。東大史料編纂所の本郷和人さんが、わかりやすく
書いておられます。歴史上の用語解説もあって親切。
今年発刊のコミックスでは、出色の作品。


その2 『ばらかもん(ヨシノサツキ)』
長崎は五島列島の「島」を舞台にした、若き天才書道家と島民、
仲間たちの物語。単に「人情味溢れる田舎生活はよいよねー」
的なマンガじゃありません。
巻を重ねるたびに、キャラクターもストーリーも濃くなってゆく
(=おもしろくなってゆく)典型。地位が人を育てるじゃないですが、
設定のよさがマンガを育てたって感じです。
正直、「田舎スローライフストーリ」は自己満足的な作品が多く
好きではないのですが、「Dr.コトー」の第一部(第二部は破綻気味
でアウト)と本作は例外でした。10巻まで刊行中。
なお、主人公(半田先生)の高校時代を描いたスピンオフものの
「はんだくん(1, 2巻)」は本編と比較するとマニア向け・・・かな。